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画鬼・暁斎 [作る以外]

画鬼・暁斎—KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドルへ行ってきた。
http://mimt.jp/kyosai/

前半はコンドルの設計した三菱一号館美術館(復元)内で、コンドルの図面を見るという趣向が強く出ている。
後半は暁斎寄り。

コンドルの図面
これはもう、名を残す建築家の図面は誰のものでも、いつ見ても、美しくてわかりやすくて素晴らしい。
手書き図面の美しさというのは、本当にわかりやすい。
絵であり図であり、芸術的であり、芸術ではない。
芸術は難しい、という人にもストレートにわかる美しさではないだろうか。
元の一号館の図面と、復元した一号館美術館の図面の比較展なんかもあれば面白だなぁと思う。
そのときには当時の写真や地図なんかも展示してほしい。
元々は事務所として建築された一号館を、美術館として復元するときに何を残し何を加えたのか。
旧古河庭園などの現存するコンドルの建築物も参考にした、と聞いた覚えがあるのでそのあたりの資料もあるとおもしろそう・・・

暁斎
「暁斎の絵は多岐にわたり過ぎて、評価しにくい」といったようなことが説明してあったが納得。
確かに色々な顔があって、どこに重きを置いて評価していいのか難しそうな作風だが、サービス精神とユーモアのある面白い人だったのだろうと思う絵が多い。
「山水画は数が少ないのは依頼自体が少なかったからではないか」とのこと。
確かにこれだけ面白い絵を描く人に、依頼するなら山水画以外を頼みたくなるかもしれない。
だけど、山水画でも彼のサービス精神はちゃんと発揮されているように感じた。

一枚ニヤリとしてしまった絵がある。
タイトルを控えなかったのでなんという絵かわからないが、たぶん「扁舟探勝図」かな。
縦長の掛け軸。中国の山水画風、岩のような細長い島、周りは川か。
画面中央より少し上に鶴が留まっている。
その鶴を見つけ「あ、鶴だ」と思う。
右下に目をやると、舟に乗った人が鶴のほうを見上げている。
そしてそのまま少し左上に、視線を動かす。
今度は島にいる釣り人が描かれている。
彼らもまた鶴のほうを見上げている。
私はこの絵を見て三度「あ、鶴だ・・・」という声を聴いた。
私自身、舟の上の人、釣り人の三人の声だ。
ニヤリとする絵だ。
サービス精神があって人間を良く知っていて、きっと人という生き物が好きな人だったのだろう。
色々なことを楽しめる人だっただろう。
そう思う絵だった。


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